暴落時にいくら買い増すべきか?


今回の話の対象は資産形成期にあって「今は高値だと思うから余力を残してる」とか「少しタイミングを読んだ投資もしたい」という方々です。逆に定額積立派や常時フルインベスト派は、どんな暴落でも通常運転でそのまま買い付けなのであまり参考にならないかもしれません…。投資対象はインデックス投信やETFを想定していますが、個別株とのミックスでも大丈夫です。ただデイトレード・スイングトレードではなく、あくまでバイ&ホールドを基本とした資産形成においてのお話です。

 さて、例えば1ヵ月で投資対象(株価・指数)が30%下落したとして、どれくらい買い増すのが適当でしょうか?


 すぐに値を戻すと推測するなら余力全額買っちゃうけど、もしかしたら来月さらに下落するかもしれないし、リーマンショックの時のように数年かけて暴落していく可能性もありますよね。「暴落したら買い増す」と普段思っていても、どこまで落ちるか分からない状態でどれくらい余力を残しておくかはある程度ルールを決めておかないと、その状態になってから判断するのは難しいかな~と思っています。


 そこで一案になりそうなのが「リスク資産が一定の比率になるように買い付ける」方法です。例えば「資産の6割を投資する」などのように決めておくと、株価が下落してリスク資産の比率が下がった時にどこまで買い増すかの目安になります。別の言い方をすると、預金と有価証券の間でリバランスを行う、とも言えます。


 仮に株を300万、現金を200万で総資産500万(リスク資産6割)持っていたとします。この株価が200万まで下落した場合、現金200万と合わせて総資産が400万になるので、その6割(240万)を維持するように40万円分の株を買い増す、という具合です。これで株240万、現金160万となり、6割のリスク資産が維持されます。


 この方法の良い所は、常にリスク資産の割合を目安にしているのでリスク管理がとても容易だという事です。(厳密には国内株、海外株、債券など投資対象によってもリスクは変わってきますが、今回の話ではひっくるめてリスク資産としておきます) 逆に怖いところは、リスク資産比率は一定でも長く続く暴落時にリバランスし続けていると現金がどんどん減っていく可能性がある事です。比率を維持する事はリスク管理の点で合理性がありますが、生活を維持するための最低限の現金はいくら必要か、生活防衛資金をいくら残すか(追加投資をやめるか)は予め考えておくべきかと思います。


 私の場合は「毎月一定額を積立」する他に「株価下落時は全資産の4割を目安にリスク資産に投資」と一応決めています。

 株価が下落した時は、当然リスク資産比率が下がるので4割を維持するためにたくさん買い付ける事になります。ただ実際やってみると分かりますが、この方法では大きく上昇する相場では売却の必要が出てきたりして厳密にやるのは面倒です。なので「リスク資産比率(株価)が上がっても売却はしない」「平時は4~5割の範囲、〇〇ショック級の暴落では最大6割まで」と少し幅を持たせています。これだと自分が「買いだ!」と思った時や逆に「まだ下げそう、様子見」と思った時など、買い付けの際に自分の判断の余地がでてきて投資として面白い、というのもあります(笑)

 それでいてリスク資産比率は一定の範囲内(私の場合は基本4~5割)なので、株価が下落を続けてもまだまだ買い足す余力が残りますし、逆に高値だと思っていたのにさらに上がり続けるような場合でも、最低限は積立で買い増し続けているので買い場を逃した、という悔しい思いもあまりしません。


 4~5割というのはやや保守的な設定だと自分でも思っていますが、例えば6~7割(1割幅)とか5~8割(3割幅)とか、自分の心地よい範囲内で、リスク資産比率の目安と自分の裁量の幅を決めておくとリスク管理をしつつ、暴落時にも単純な定額積立よりは有効に資金投下できるのかな~と思ってす。


 もちろん定額積立やフルインベストもとても合理的な考え方なんですが、もし「定額積立だけでは面白みがない」「常時フルインベストではなく株価下落時の余力を残したい」と思った方は、こんな方法もありますので是非考えてみて下さい。私は投信の定額積立に加えて、プラスアルファでの買い付け分にこのルールを適用しています。


年齢や家族状況など、リスク許容度は人それぞれなのでご自身に合った投資ライフを!

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