ナスダック100 vs レバナス


こんにちは、青空ビーチです。

今回はレバナスについて検証をしてみたのでご紹介したいと思います。

まず、下のグラフはナスダック100指数(以下、ナスダック)の毎営業日の終値と、
一日ごとに2倍の値動きとなるようレバレッジをかけた「2倍レバナス」の値動きをグラフ化したものです。

期間は2010年1月から2022年3月の約12年間です。


いやー、レバナス素晴らしいですね!
グラフを見た瞬間にレバナスが圧勝しているのが分かります。
あのナスダックでさえ、まるで地を這うイモムシのようだ(笑)

元データで見ると2010年の年初営業日のナスダックの終値は1886.7で、2022年3月1日の終値は14005.99なのですが、2倍レバナスは63753.34まで上がってます。

レバレッジをかけなかった場合は12年間で約7.4倍ですが、
2倍レバレッジにする事で12年間で約33.8倍まで増やす事ができました!

これはもう普通のナスダックなんて勿体ない!
レバナスに全力一括投入だ!!

…という記事やツイート等をたまに見かけます。
これは本当に正しいのでしょうか?

期間を延ばしてみると?


さて、先ほどのグラフではナスダックがイモムシになっていて見辛いので、2000年1月から2022年1月までの22年間のナスダック100指数のグラフを見てみましょう。

あえてITバブル崩壊前の2000年をグラフの起点にしたので、1つ目のグラフとまた少し印象が違うのではないでしょうか?


2000年3月に一度高値をつけているのですが、そこからITバブルが崩壊しナスダック100は約15年間この高値を超えられていません。

今回の記事の趣旨からは少し外れますが、
最近つけた高値をこれから15年間超えられないなんてのは投資では普通にありえる話
だという事は覚えておきたいと思います。

直近10年程度の値動き(1つ目のグラフ)だけを見て「ナスダック100は長期で右肩上がり」というのをイメージしていると、思わぬ落とし穴があるかもしれません。
長期で右肩上がりなのは間違いないのですが、その「長期」ってどれくらいの期間を指すの?という話ですね。

ここ10年ほどは暴落しても数ヵ月~1年程度で回復していましたが、一方でITバブル崩壊から元値に戻るまでは15年です。
15年あったら3歳の子供は大学に入学しますし、中堅社員は定年を迎えるかも
人生設計が変わってきますよね。

さて、話を戻します。
2010年からの検証ではレバナスが圧勝だった訳ですが、暴落前の2000年1月にレバナスを仕込んでいたらどうなっていたでしょう?

近年は爆上げしているんだし、多少の低迷期があってもレバナスの圧勝でしょうか?
期間だけ変えて、先ほどと全く同じように計算してみた結果がこちらです。


なんと、驚くべき事に先ほど圧勝していた2倍レバナスより、1倍ナスダック指数の方が成績が良くなりました

繰り返しますが期間を12年→22年に変えただけで、計算方法は何も変えていません。

2000年1月初日のナスダック終値は3790.55でした。
そこから暴落を経て復活し、2022年3月には14005.99になっています。
一方でレバナスは9205.51という結果になりました。

元の指数であるナスダックが22年間で約3.7倍になっているのに対し、
レバナスは同じ期間で約2.4倍にしかなっていません。
これならレバ無しのナスダック100指数に投資しておいた方が良かったですね。

なぜこんな事が起きてしまうのか。
賢明な方は既にお気付きだと思いますが、レバレッジ商品には減価があるからですね。
減価効果は一般的にレンジ相場で説明される事が多いですが、下落幅が大きいほど強く働くので、一度大暴落してしまうとなかなか浮上できなくなります。

減価の仕組みについてはネットにたくさん解説が出ているので、詳細な説明は省きます。
ごく簡単な例を出しておくと、指数(100)が45%下落55)→その後2倍に上昇(110)という経緯を辿った場合、2倍レバ商品は90%下落(10)→その後4倍(40)となる訳で、暴落があった場合に元値に戻るのが難しい事が分かります。

今回は信託報酬などのコストはゼロとして計算していますが、 実際にはこれに加えてレバレッジ商品には通常のインデックスよりも高いコストがかかってきます。
コストも長期になるほど複利で効いてきますので、さらにレバレッジ商品が不利になるという事です。

おわりに


さて、今回の検証は如何だったでしょうか?

減価についてモデル的に説明しているサイトは多いのですが、 実際に2000年からのナスダック100指数のデータを使ったらどの程度の影響が出るのか知りたくて計算してみました。
(毎営業日のデータが無いとレバレッジ計算ができないので必然的にデータ量が多くなり、大変でした…)

ここ5年ほどのナスダックの上昇は凄まじかったので、それでもレバナスがギリ勝つかな? …けど単純に2倍儲かると思ったら大間違いだよ、という記事を書くつもりだったのですが、 まさかの1倍インデックスに負けるという結果で、私自身もレバ商品の減価の効果に驚いています。

私はレバナスを否定はしません、それどころか昨今の暴落を見て少しレバナスを買いました(笑)
レバナスは上昇局面では大きく利益の出せる良い商品だと思います。
一方で下落局面にはめっぽう弱く、一度大きく暴落してしまうと復活するのが難しい、リスクの高い商品だと思います。

最初のグラフ(12年の方)で見た通り、「結果的に上昇局面だったのでレバナスの方が大きく儲けられた」という可能性は十分にあります。
上昇局面に賭けてレバナスを買ってみるというのは、正しい使い方だと思います。

しかし最後のグラフ(22年)のように、もしかしたら今日がバブル崩壊の前夜であるかもしれない、という視点も忘れないようにしたい所です。
特にレバナスへの全力一括投資はオススメできません

元指数にもよりますがレバレッジ商品は「長期投資でジワジワと右肩上がりに期待する」というよりは「リスクを負って上昇局面で大きく利益を出す」ための商品である事は間違いないと思います。個人的には下落している時に資産の一部を振り分ける程度にしておこうと思いました。


追記:
レバナスを積立する事で、リスクを下げて大きく利益を出せる、という話も良く見ます。
確かに一括購入に比べると、リスクは大幅に下がりそうです。
しかしそれでも指数に対して減価がある事やコストが高い事は変わりません。
このあたりの影響がどう出るのか、いずれツミレバの検証もしてみたいと思います。




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