分配金ありと無し、どちらが良いのか
ETFのように分配金の出る「分配金あり投資」と、分配金を出さずに内部で再投資してくれる「分配金なし投資」どちらが良いのでしょうか?
課税繰り延べ効果を考えると分配金なしの方が有利なのは何となく分かるんですが、全く同じ指数に連動する投資で分配金ありと無しでどれくらい差が出るのかを計算してみたいと思います。
前提条件は以下のようにしました。
・分配金あり投資、分配金なし投資ともに、元となる指数は年率5%ずつ上昇
・分配金あり投資は、年2%の分配金を出すが課税後に再投資する
・分配金なし投資は、配当を内部で非課税再投資したものとして配当分も基準価額が上がる
・年間12万円(月1万円)ずつ20年間投資する
・税率は20%(分離課税)
初年度の基準価額を10000円として2年目には
◆分配金あり: 10500円+分配金200円(税引き後160円を再投資)
◆分配金なし: 10700円
という感じです。この調子で20年間ずっと定率で基準価額が上昇する投信(またはETF)に、それぞれ年12万円(月1万円)定額積立します。
エクセルで計算してみた結果は以下の通りでした。右下の赤い文字が20年後の総資産です。
20年後の基準価額と口数、資産評価額は
分配金あり: 25,270円 × 186.38口 = 4,709,837円
分配金なし: 36,165円 × 136.03口 = 4,919,459円
と実に資産評価額で21万円もの差がつきました。なかなか大きな差ですね。
しかしこれ、何か忘れてると思いませんか?
ここまでの結果だけで「やっぱり分配金なし投信じゃないと!」となってしまう考察を何度か見かけた事があります。しかし先日投稿した通り、元本に対して大きな含み益が乗っている場合は利益確定の時の税金の影響が大きくなります。
(参考:含み益と課税について考える)
という事で、これを利益確定させた時の計算結果がこちらになります。
分配金ありの場合は分配金を貰う度に税金を先払いしているので、利益確定時の税金は少なくなります。
最終的な利益確定後(税引き後)のお金は
分配金あり:4,359,862円
分配金なし:4,415,567円
差は55,705円となりました。
予想通り、課税繰り延べ効果のある「分配金なし投資」の方が最終的には大きなお金を手にする事ができています。
しかし実際に計算してみると「思っていたより課税繰り延べ効果は少ない」というのが個人的な感想です。逆に分配金ありは税金を先払いしているので、最終利益確定時に支払う税金が少なくなり、評価額とのギャップが少ないですね。
年12万ずつ20年もコツコツと投資して、約5.6万の差。約1.3%(年率0.06%)。個人的にはこの程度なら、分配金の有無に拘らず好きな方を選べば良いかなぁと思いました。
資産形成期であっても、分配金が欲しいという人は分配金を出す投信あるいはETFでも良いかもしれないですね。信託報酬や構成銘柄など、他の要素の影響の方が大きい気がします。ただし、いわゆるタコ足配当をする投信は全く別の問題(投資元本の毀損)が生じてきますので、そこは注意が必要です。
最後に、せっかくエクセルを作ったので他の条件で計算した結果を乗せておきます。
こちらは検算のため税率0%にしたもの。当然、差はゼロになりました。最初これが中々ゼロにならず、どこが間違っているのか探すのに苦労しました。結局は、最終的に利益確定後となる20年目の所で配当金を間違えてさらに足していたのが原因でした。
こちらは税率30%にしたもの。外国課税があるとこれくらいになりますかね。当然ですが税率が上がるほど、課税繰り延べの効果が大きくなり差が広がります。この例では7万ちょっとでした。
最後に、計算には細心の注意を払ったつもりですが、間違っているかもしれないのでご利用は自己責任でお願いします。
それでは、ご自身に合った投資で楽しい投資ライフを!