医療関係者のボーナス減に思うこと



今般、コロナ対応で医療関係者の方々は大変だと思います。
自らも感染リスクを抱えながら、患者さん達への感染予防へも気を使い、同じ作業でも従来よりも何倍も手間がかかっていると想像されます。

そんな中で、医療関係者の方のボーナス削減というニュースをいくつか見ました。

医療関係の方々からは、
「コロナ禍の中で命を張って仕事しているのに、この仕打ちはあんまりだ」
といった意見もあがっているようです。

しかしこの意見に少し違和感を覚えるのは私だけでしょうか?
今回はこのボーナスの位置付けについて考えてみたいと思います。

そもそもボーナスとは?


日本では多くの会社・組織でボーナス制度が採用されており、よほど業績が悪化しなければ慣例的に支給されるのが通例となっています。
またローンのボーナス払い制度があったり、毎月の生活費の足りない分を補填したり等、生活保障的な意味合いも強いと思います。

しかしボーナスの本来の位置付けは業績に応じた従業員へ還元です。
裏を返せば業績が悪化していればボーナスが下がるのは本質的には当たり前の事だと考えられます。

本来、仕事に対して支払われているのはあくまで賃金と残業手当などの各種手当です。
仕事を頑張ったからもっと支払え、と言うのであれば賃金や手当を求めるべきで、ボーナスは業績によって決まると考えた方が合理的でしょう。

アルバイトや非正規雇用の労働者は、正社員と同じような仕事をしていてもボーナスが貰えない事もあると思いますが、何故でしょうか?

もちろん正社員が責任が重いとか、転勤があるとか色々と理由をつける事もできるかもしれませんが、本質的には「正社員は組織の一員として利益の分配を受けられる契約になっているから」というだけで、決して「正社員の方が仕事を頑張っているから」ではないというのが私の解釈です。

もちろん人事評価などで会社に貢献すると特別ボーナスが支給される会社もあると思います。会社としても社員にモチベーションを上げてもらって、業績を良くしたいという思惑もあるでしょう。

しかしあくまで基本は「過剰利益の分配」であって、「仕事の頑張り」に対して支払われるものではないというのが本来の趣旨だと思います。

景気敏感業界とボーナス


私の勤め先は割と景気の影響を大きく受ける業界で、好況下ではボーナスがたくさん出ますし、不況下ではボーナスが下がります。
今回のコロナ禍ではボーナスは半分以下に下がりました。

そして通常は景気が良ければ仕事量が増え、景気が悪ければ仕事量が減ります。
こういった景気の影響を受けやすい業界で働いてる方は、割とこの「仕事が多いとボーナスが多く、仕事が少ないとボーナスが減る」という肌感覚があるのではないでしょうか。

一方で職種や部署によっては、好況下でも大して仕事が増えない事もあると思います。それでも会社が利益をあげていればボーナスは支給されます。大して仕事が増えてないのにラッキーですね。

私自身を含め、ついボーナスが貰えるのは仕事を頑張ったからだという錯覚に陥りがちですが、 本来は仕事の頑張りに大して支払われているのは賃金と残業手当をはじめとした各種手当であり、ボーナスがもらえるのは極論すれば「たまたまラッキーな事に業績が良かったから」だと考えた方が良いのかもしれません。

学生時代に時給いくらのバイトをしていて突然「ボーナスあげるよ」って時給以外のお金を貰えたら、ラッキーだと思いますよね。
それくらいの感覚でいた方が、突然の収入減にうろたえずに済みそうです。

医療業界とボーナス


ところで医療業界というのはあまり景気の影響をうけなさそうです。
好況でも不況でも病気になる人は病気になりますし、怪我をする人の数もさほど変わらないと思います。

そうするとボーナスが景気の影響を受けにくく、毎年大きく変わらないのではないかと予想されます。

この場合、ボーナスはあまり増減せず貰えるのが当然であり、生活設計もボーナスが貰える事を前提としている方も多いと思います。
ここでボーナスが半減するなどと言われれば、「それは困る」という意見も理解はできます。
景気敏感業界とはボーナスへの考え方が異なる人も当然いるでしょう。

しかし見方を変えれば本来の労働に対する報酬は賃金と手当で支払われているので、厳しい言い方をすれば「たまたま業績が良くてずっと貰えていたボーナス」を当てにした生活設計がそもそも間違いだったとも言えるかもしれません。

これは医療業界に限らず、全ての労働者が一度考えてみるべき事かもしれませんね。

また今般のコロナ禍では、もう1つ問題があります。
通常は仕事が多く忙しいほど利益が上がるはずですが、今般のコロナ禍では忙しいのに利益が上がらないという事態が発生しています。

それは一般企業で言うところの「トラブル処理」に近い、利益を生み出さない仕事が増えているためかもしれません。

一方で「コロナのせいで来院者が減った」「本当は行う予定だった治療を延期した」などの理由で仕事量が減っている医療関係者も少なからずいるでしょう。
仕事が増えた人と減った人の間で歪みが生じているのも、今回のコロナ禍の特徴ですね。
これに対してはやはり一律の「ボーナス」ではなく、その人の頑張りに応じた「手当」で報いるべきではないでしょうか。

まとめ


医療業界に限らずコロナ禍は多くの業界に、利益と結びつかない負担を強いています。
そして「コロナ対応で忙しい人」と「コロナのせいで仕事がなくなる人」という歪みが生まれていると感じます。

特にその影響を顕著に受けているのが医療業界なのかもしれません。

感染リスクがある中で治療に当たっている医療関係者の方々には本当に頭が下がりますし、正当な報酬で報いるべきだと思います。

しかし既に述べたように「ボーナス」という利益還元型の制度で報いる事は難しいように思います。
なので求めるべきは「特別手当」や「残業手当の割り増し」などではないかと思います。

我々一般人としてもコロナ禍で病院が潰れるような事態は困るので、国や自治体が医療業界を救えるような制度が出来ると良いですね!


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